2007-03

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【060】「Le journal de l'exposition=展覧会日記」Mar.29「三信ビル-華やかな頃 現在 そしてこれから」

三信ビル03291

前号で「4月の三信ビルの姿はどうなっているかわからない」と書きましたが、くしくも翌16日、建物記録作業のための足場仮囲ということで、外周部半分が囲まれました。

三信ビルで唯一営業していた喫茶店、「ニューワールドサービス」が3月30日、午後2時に57年の営業を終えます。
創業当時から変わっていない内装、長い間の煙草の煤で、白から茶色になった味のあるシャンデリア、独特の形のライト。
隣り合わせた他のお客さんたちと「ここの椅子は何時間、座っていても疲れない。本当に気持ちのいい椅子だよね。新しいお店のは、たいてい固いね。」という話になりました。
オーナーの息子さん、音楽家のウォン・ウィンツァン氏の心地よい曲が流れる中で、沢山の人が喋っていても、少しも騒がしくなく、かえって人の声が音楽のように聞こえるのがいつも不思議です。音楽をやっている人に言わせると、このビル自体が音の響きがとても良く、歌などがきれいに聞こえるそうです。

喫茶店で長く働いているM さんにお話を伺いました。
印象に残っているお客さんの声。
「東京に来るとどうしてもここに寄ってしまう。関所のようなものよ。」
「ため息出るほど忙しくても、ここでは仕事を忘れるんだよね。」
フランスで働いている若い女性が、自宅に帰らずビルに駆けつけて、「壊されるのはどうして。通り抜け出来るビルはめったにないでしょう。」
都電がある頃より日比谷に来ていて、帝国ホテルを常宿にしているイタリア人「滞在中は必ず三信ビルに来ます。昨年来て取り壊しと聞いて驚きました。力を貸してもらえるよう、人にも頼みました。」
また、M さんいわく、
「ここには実に様々な、いろんな職業の方が来ました。私も三信ビルが好きだから長く働いていました。このビルには不思議な力があるようです。きっと想いを込めて造った方たちの魂が伝わるのでしょう」

人が寛げる場所としても、趣のある造りとしても、誠に閉店が惜しまれます。

「三信ビルの保存を考える会」 聞き取り・本づくり担当 マミラジャ記


三信ビル03292

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【059】「Le journal de l'exposition=展覧会日記」Mar.15「三信ビル-華やかな頃 現在 そしてこれから」

三信ビル1


三信ビルで唯一、営業していた喫茶店「ニューワールドサービス」が、ついに3月30日、閉店することになりました。

「三信ビルの保存を考える会」は、三信ビルが好きな一般市民の集まりで、昨年6月に発足し、12月には「消えゆくビルが語るもの」と題し、絵画・写真
展を開きました。会員、公募の方、ビルに入っていたテナント、スケッチをしていた見知らぬ方、会期中に提供してくださった写真家、それらの方からの多彩
な作品が並びました。
隣の三井ビルを建てる際に地盤沈下し、傾いた道路で車が走っている写真。旧日比谷映画と三信ビルが写っている写真。ビル内に入っていた三機工業(三信
ビルの設備一式を行った)の亀甲模様のガラスドア。ふだん人が行かない機械室にある立派な階段部、など。
また、ビルを建てた横河建築設計事務所から、沢山の図面や写真をお借りすることが出来ました。ビルの設計者、松井貴太郎氏がデザインした意匠の異なる
沢山の照明器具は、白黒の図面でもきらめいて見え、多くの人が、ため息を漏らしました。

三信ビルは建築的、歴史的、設備的に貴重な存在というだけでなく、多くの人が利用し親しんでいたビルです。
今まで活動を続ける中で、沢山の人から多くの情報を得ました。写真展にも、竣工に関わった方のご子孫、三信ビルに勤めていた方、いろいろな方が来場さ
れたり、連絡をくれたりしました。
今回、得た貴重な情報の一部を紹介したいと思います。
昔、エレベーター内は金ピカで、エレベーターガールが手動運転もしていた・・会でよく聞いていた話ですが、その「幻の」もとエレベーターガールの方か
ら連絡がありました。現在80歳代。当時の何階が何の事務所だったか、どのエレベーターが自動、手動であったか。実によく記憶されています。また今まで
不明であった12星座のあった青い天井はいつ、白く塗られたかーこの疑問も占領軍が白く塗った、と教えられました。この方は「三信ビルで働くことはとて
もまぶしい経験だった」とおっしゃっています。
「父も母も、私も三信ビルで働いていました」と何人かの方が言ってらしたのが興味深いことでした。

すぐの解体はないとしても、4月の三信ビルの姿はどうなのか、わかりません。が、たとえどのような形になろうと、三信ビルの記録、記憶は残したいと思
います。「保存を考える会」では、これからも聞き取りを続け、本を作りたいと思っています。

「三信ビルの保存を考える会」  聞き取り、本の担当  マミューズ・マミラジャ記


三信ビル2

三信ビル3

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